運動の勧め
 運動は心肺機能を高め、認知症や各種慢性疾患のリスクを減らしますが、どの程度の運動をどのくらいすることが望ましいかは個人の状況によって大きく異なります。年齢や性別、体型、運動能力が異なるからです。また運動の目的をどこに置くかによっても異なります。
 ほとんど運動していない高齢者が急に運動を始めることは様々なリスクを伴います。まずは無理なくできる範囲での歩行、体操、筋トレ、ストレッチなどを組み合わせて運動習慣を作ることが大切です。例えばラジオ(テレビ)体操してから散歩、スクワットなどの筋トレをしてからストレッチなどというスケジュールです。短い時間でもまずは身体を動かしてみて、体調を確認しましょう。
 運動習慣のある人は継続することが大切です。一方で、様々な種類の活動を取り入れることも大切です。散歩が主という方は、階段昇降、体操や筋トレ、ストレッチを組み合わせてみてはどうでしょう。


米国福祉保健省の発表をもとにアメリカ心臓病学会は成人の運動量の目標として以下を推奨しています。
 毎週150分以上の中強度の有酸素運動または毎週75分以上のやや高強度の有酸素運動を行う。
  中強度の有酸素運動とは心拍は早くなり、呼吸も荒くなるが、会話は十分できる程度の運動
  例 時速4km以上の歩行、水泳、ダンス、ダブルステニス。時速16km以下のサイクリング など
  やや高強度の有酸素運動とは心拍、呼吸はさらに増加し、身体が温まり、汗をかき始める。息切れがして長く話すことが出来ない程度の運動
  例 バックパックを背負って坂道のハイキング、ランニング、往復水泳、シングルテニス、時速16km以上のサイクリング、縄跳び など
* 筋トレを週2回以上行い筋肉の減少を防ぐ
* 座ったり横になったりする時間をなるべく減らす
  軽い運動でも座りっぱなしよりまし
* 毎週300分以上身体を動かすことがより有効。
* 運動の量や強さは少しずつ増やしてゆくこと
運動は週末に固めて行うよりもできれば週を通して分散して行うのが望ましい


*運動強度の目安としての心拍数*
 腕時計式の心拍数計が容易に使えるようになりました。心拍数は個人の運動強度を判定するうえで重要です。
最大心拍数は220-年齢で近似されます。60歳の方では最大心拍数は160回/分となります。中強度の運動は最大心拍数の50-70%(80-110回/分)、やや高強度運動は70-85%(110-136回/分)にあたります。
運動時に脈拍が上がりすぎる場合は運動量を減らしましょう。脈拍が上がらない場合、運動をきつく感じていなければ運動量を少し増やしましょう。


*重要な注意*
何らかの心臓病や薬剤によって脈拍数が影響を受ける場合があります。このような場合は脈拍数と運動強度がアンバランスになることがあります。治療中の方は、主治医にご相談下さい。