予防接種

*当院で可能な予防接種*


● 季節性インフルエンザ
 現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありませんが、34-85%の発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することが報告されています(出典 厚労省HP)。高齢者や呼吸器疾患、循環器疾患を持つ方は接種をお考え下さい。成人では通常1回の接種が行われます。効果は接種後1-2週間で発現し、2-3か月でピークとなり約5か月続くと言われます。例年の流行は11月からで1月から2月にピークを迎え、3月下旬まで続きます。10-11月に接種すれば流行期をほぼカバーできます。年によって流行期がずれるので適切な接種時期は医師にお尋ねください。


● 新型コロナウイルス
 高齢者や呼吸器疾患、循環器疾患を持つ方は接種をお考え下さい。
最新のオミクロン株に対応したワクチン(JN.1系統対応1価ワクチン)では接種後7-60日で約50%程度の発症予防、61日以降では約35%の発症予防効果があり、60%程度の入院抑制効果があると報告されています(Vaccine Effectiveness Real-Time Surveillance for SARS-CoV-2 (VERSUS) Study、第12報 長崎大学熱帯医学研究所)。


● 23価肺炎球菌ワクチン
 日常発生する肺炎の約20%は肺炎球菌によるものと報告されています(Fujikura Y, et al. BMJ Open Respir Res. 2023;10(1):e001800)。現在の肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌感染症の約40-50%に効果があると言われています。


● 帯状疱疹ワクチン
 帯状疱疹ワクチン(遺伝子組み換え)は帯状疱疹発症を10年間にわたり90%以上抑制します(Strezova A, et al. Open Forum Infect Dis. 2022)。50歳以上の方に接種が勧められています。帯状疱疹とは過去にかかった水疱瘡のウイルスが体内に残存し、免疫の低下によってウイルスが活性化し水疱や疼痛を起こす疾患です。全身どこにでも起こる可能性がありますが、躯幹に起こると病変が神経の走行に沿って帯状に広がる(通常半身)ために帯状疱疹と言われます。顔面にも生じ、失明や聴覚障害を起こすことがあります。通常は1-2ヶ月の経過で急性症状は軽快しますが、ときに数年以上にわたる疼痛や異常感覚が続くことがあります(帯状疱疹後疼痛 PHN)。数%の方で帯状疱疹が再発します(Dermatol Ther (Heidelb). 2024 Mar;14(3):569-592)。数年での再発も認められるため、帯状疱疹の既往があってもワクチン接種は選択肢の一つです。


● RSウイルスワクチン
 RSウイルスは風邪症候群の原因の一つです。乳幼児の気管支炎や細気管支炎、肺炎をきたすことがあり生後6か月以内や病児では致死性となることがあります。高齢者でも細気管支炎や肺炎を発症して重症化することがあります。有効な抗ウイルス薬はありません。心肺機能が低下した高齢者ではワクチン接種による発症予防や重症化予防も選択出来ます(JAMA Netw Open. 2025 May 1;8(5):e258322)。


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